読書週間の歴史は、終戦間もない1947年(昭和22年)、まだ戦火の傷痕が至るところに残っているなかで「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと、出版社・取次会社・書店と公共図書館、そして新聞・放送のマスコミ機関も加わって、11月17日から、第1回「読書週間」が、開催されました。その時の反響は素晴らしく、翌年の第2回からは期間も10月27日〜11月9日(文化の日を中心にした2週間)と定められ、全国に広がっていったものです。
読書週間だから読んだわけではありませんが、先日「賢く生きるより辛抱強いバカになれ」という稲盛和夫氏とiPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥氏の対談集を読んでみました。
生い立ちから始まり、様々な話が出てきましたが、山中氏の母親はすごい人で、ある出来事をきっかけに「何か悪いことがあったら身から出たサビ、良いことがあったらおかげさま」ということを身をもって知ったと話されていました。悪いことがあると自分以外のところに原因を求めがちですが、こう心がけたいものです。
そして、この本の最後の方で「iPS細胞は大善か、小善か」というテーマで対談がありました。
この中で稲盛氏は「iPS細胞の技術で病気で困っている人々を助け、寿命を少しでも延ばそうと、先生方は一生懸命やっていらっしゃる。目の前にある直近の善。一見するとそれは善の方向へいっているように思えます。しかし、結果としてはそうじゃなかったということもあり得るかもしれない。」と問いかけたのに対し、山中氏は「おっしゃる通りかもしれません」と答えています。
そして、稲盛氏は「人間の生死を自然のあるがままにまかせるという行為は一見は非情に見えるかもしれませんが、地球規模の大きな視点で考えると、それは善きこと[大善は非情に似たり]であるとなるかもしれない。」と述べています。
健康上の問題で日常生活が制限されることのない「健康寿命」が、2010年で男性70.42才、女性73.62才といわれる中で、「健康寿命」を過ぎた後の人生が異常に長くなることが、果たしてその人にとっても良いことなのかどうか、幸せなことなのかどうか考えさせられました。私の普段の読書は、経済雑誌を斜め読みする程度ですが、たまには単行本も良いものだと感じた今日この頃です。
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